おまけ


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「おはよう、お母さん。何か嬉しそうだね」

元日、いつもと変わらず洗濯物を干していた若菜を見つけ、リクオは不思議そうに聞いた。

すると、若菜は一旦手を止めてリクオを振り返る。

「ふふっ、今朝とっても良い夢を見たの」

だからかしら、と若菜は笑顔のまま続けた。

「良い夢…。そっか、良かったねお母さん」

「えぇ」

嬉しそうに微笑む若菜と別れ、リクオはばったりとぬらりひょんと遭遇する。姿は勿論いつもの姿で、若くはない。

けど、纏う雰囲気がいつもより柔らかい。

「おはよう、じぃちゃん」

「おぅ、リクオ」

「…何か良いことでもあった?」

そうリクオが聞くとぬらりひょんはう〜む、と腕を組み言った。

「あったと言えばあったが、口にするのが惜しいのぅ。じゃから秘密じゃ」

と、結局は答えてくれなかった。

去っていくぬらりひょんの背に、リクオはくすりと笑みを溢す。

きっと僕も今朝見た夢の事を聞かれたら答えないだろうな。

だって、勿体無いから。

秘密にしておこう。


end



*2011年お正月フリー小説として配布。配布は終了しました。

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